検証をくぐり抜けた治療よりも
素人ライターの記事を信じるのか

五本木クリニックの桑満おさむ院長

 医療において、現在利用できる最良の治療であることが示され、一般的な患者に推奨される治療のことを「標準治療」という。これを否定したり、もしくは標準医療に追加して、怪しげな治療法をしたがる患者や医師も、ニセ医学蔓延の原因であるという。

「『標準』という言葉から、まだプレミアムの治療があるのではないかと思う人がいます。そういう人はネットの素人ライターが書いた根拠のない治療を信じてしまう。また、医師が標準治療に加えてニセ医学を施すケースもあります。しかも、悪意ではなく善意で行っている医師もいるので、ニセ医学は厄介なのです」

 そのような医師に「エビデンスがあるんです」と言われれば、我々は簡単に信じてしまいそうだ。しかし、桑満氏は「エビデンスが軽んじられ過ぎている」と話す。

「エビデンスは試験管レベルから始まり、動物実験、人体への治験を繰り返して確保できます。『医学論文になっている』と権威付けする場面を見ますが、論文は探せばいくらでもあり、同様にそれを否定する論文も必ずあります。標準治療は論文レベルではなく、エビデンスにエビデンスを重ねた、いわば“エリート治療”。これに追加してなにか行うのはムダ、もしくは逆効果になる場合もあります。『それでもアナタは“エリート”ではなく、雑多な治療を選びますか?』ということです」

 専門知識とまではいかなくても、どの段階までエビデンスが確保されているのか、しっかり理解しておくべきだろう。