「銀座から人が消えた」
人気すし店の苦悩

 立地や業態によっては、3月以前からコロナの影響が出ている店もある。特に、インバウンド需要が大きかった店は、1月末に始まった外国人観光客減少のあおりを受けた。すでに2カ月以上、深刻な売り上げ減少に悩まされている。

「銀座ですし職人をやって24年目になるが、こんなことは初めて」

 人気すし店「銀座いわ」の店主、岩央泰氏は、人が消えた銀座の現状をこう話す。

 ミシュランガイドに1つ星として掲載されたこともある同店では、来店者の7割程度が外国人観光客だったという。ホテルのコンシェルジュ経由で予約が入ることも多かった。本来は予約でいっぱいになる桜の季節だが、観光客の激減に伴い予約数も昨年に比べて7割減った。

臨時休業4月最初の土日は臨時休業を決めた Photo:Diamond
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 売り上げが急減する中で、経営を圧迫するようになったのが人件費だ。7人の従業員のうち5人を3月末で解雇せざるを得なくなった。先が見えない中でいずれ辞めてもらわざるを得ない状況になるのなら、早くから失業手当がもらえたほうがよいだろうと、苦渋の決断を下した。

「『戻ったら、また一緒にやろう』と声をかけたが、こんなことをした会社に戻ってきてくれるかな……」

 岩氏は、やるせない表情を浮かべた。

 すでにコロナショックの影響は長期化しているが、終息のめどが立たない。同店は資金確保に動いているものの、「お金を借りられるのが先か、支払期限が先か」(岩氏)と、状況は刻一刻と厳しさを増す。

休業で売り上げゼロに
重くのしかかる固定費

 今、多くの飲食店経営者の頭を悩ませているのは、人件費や家賃といった固定費だ。店を休もうにも、こうした費用の支払いは毎月やってくる。

 なんとか新型コロナウイルスの感染拡大が終息するまで店を持たせようと、経営者は資金繰りに奔走している。しかし、経営状況が悪化した企業のための地域の特別相談窓口には売り上げの急減に悩む企業から同様の相談が殺到しており、「4月の初めに区の新型コロナ関連の融資相談窓口に行ったときには、相談の予約が1カ月待ちだった」「3週間ほど前に雇用調整助成金を申請したが、お金がいつ支払われるかまだめどは立っていない」など、着金の見通しが見えていない店もある。