日経新聞の記事を見て考えた
金融緩和がバブルの原因か?

 8月19日の『日本経済新聞』(朝刊11面)では、「日曜に考える」の特集ページに「中央銀行は打ち出の小槌か?」と題された、米欧日の中央銀行がそれぞれに金融緩和を求められている事情を掲載した記事が載った一方、「経済史を歩く」の14回目に「日経平均最高値(1989年)バブルの絶頂」「カネ余りの影に自壊の芽」という見出しが打たれた記事が並んで載った。

 直接的にそう書いてあるわけではないが、中央銀行の金融緩和が行きすぎると株価や不動産価格などの資産価格がバブルに至る副作用があることを警告したいという、編集サイドの意図を感じる。

 読者の中には、日本のバブルをよくご存じの方も、そうでない方もいらっしゃるだろうが、「考える」材料のために、まずは両記事を読んでみて欲しい。

 では、たとえば、現在の日銀は将来のバブルを避けるために、これ以上の金融緩和を避けるべきなのだろうか。あるいは、物価の目標と資産価格に関する判断が対立したときに、中央銀行はどうしたらいいのだろうか。

 読者それぞれに考えてみて欲しい。

 下図は、資産価格と景気、金融政策の関係を時計の針の回転に対応させて描いたものだ。(経済知識のある読者には直感的にご理解いただけよう。詳しい説明が必要な場合は、筆者が楽天証券のホームページに書いた「経済循環と運用を時計で考える(上)」(2011年11月18日)を参照されたい。