「新型コロナウイルス」の影響が日本でここまで深刻になるとは誰も想像できなかったのではないでしょうか。急速なグローバル化により、「世界のどこか」で起こったことは、すぐ「人類全体の問題」となり、今まで以上に「今、世界で何が起こっているのか」「なぜそうなったのか」を理解する必要があります。そういった点で、東京大学の入試「地理」は毎年、今この世界で起こっていることに対する感度を鋭く求める良問ぞろい。そこで前回に続き河合塾講師の伊藤彰芳氏の『最新版 東大のクールな地理』(青春出版社)より、新型コロナウイルスの感染拡大を終息させつつある中国の近年の動きについて、実際に出題された設問を交えながら解説します。
新型コロナ感染拡大前の世界の話題は「米中貿易摩擦」だった
今や「新型コロナウイルス」関連のニュース一色の中国ですが、こうなる前の2019年後半では「米中貿易摩擦」が問題となり、世界中が両国の動向を見守っていました。HUAWEI(ファーウェイ)への半導体輸出規制や、米中双方が報復関税をかけるというニュースによって株価が上下したりする日もありました。
経済規模では、現在アメリカ合衆国が世界1位、中国が2位です。貿易に目を向けると、中国は世界最大の輸出国、アメリカ合衆国は世界最大の輸入国です。そして、中国は世界最大の貿易黒字国、アメリカ合衆国は世界最大の貿易赤字国でもあります。