やや気になるのは、政府のリーダーシップ、求心力だ。外出できないことへのストレスから、週末などに各地の行楽地に出かける人が増えたことなどは、それを示す良い材料だ。今こそ、わが国の政治の力が問われている。

感染が落ち着きつつある
中国、韓国

 感染が小康状態となり、中国では経済活動が再開された。世界全体で見た場合、中国ほどに経済活動が再開されている国は見当たらない。

 コロナショックの発生以前から、中国経済は成長の限界に直面した。2018年以降、米中の通商摩擦は激化し、中国は構造改革よりも補助金政策や金融緩和による国有企業や中小企業の経営支援、雇用維持を重視せざるを得なくなった。現在、その考えは一段と強まっている。

 中国企業は政府からの金融支援などを受け、鉄鋼や石油化学分野での増産に動いている。景気対策としてのインフラ投資需要を見込み、違法鋼材である“地条鋼”の生産も増えているようだ。世界全体で需要が急速に落ち込みデフレ懸念が高まる中、基礎資材分野での中国の供給増大は世界の市況を悪化させるだろう。

 同時に、中国はアフリカや欧州各国などを支援している。特に、アフリカ地域における中国の存在感の高まりは顕著だ。中国の支援姿勢は、マスクや防護服の輸出禁止を示唆しカナダなどからの反発を招いたトランプ政権と対照的だ。

 韓国でも感染状況は落ち着き始めたように見える。ただ、自力で経済を運営できる中国と異なり、韓国経済の安定には外需の取り込みが欠かせない。当面、世界各国は何らかの形で国内外の人の動線を遮断せざるを得ないだろう。韓国が輸出を軸に経済運営を進めることはこれまで以上に難しくなっている。

 それに加え、北朝鮮の金正恩委員長の健康不安説が出ていることは文大統領にとって軽視できない。北朝鮮の動向から最も影響を受けるのは、南北統一を夢見てきた文大統領だろう。仮に、金委員長の独裁体制が変化するとなれば、文政権は対北政策を根本から修正しなければならなくなる。北朝鮮が世界の関心を得ようと軍事挑発が活発化する恐れもある。

 コロナ禍によって日米韓の安全保障連携にも不安定感が漂い始めていることを考えると、韓国の先行きは楽観できない。