恐怖に煽られた人々が
保健所や病院に押し寄せる

 これとまったく同じことが今、医療現場で起きている。例えば、都内の医学生だという人物が、Twitterで4月20日に以下のように呼びかけている。

《お願いですから特にマスコミ含めた皆さん、「日本の政府、医療者はPCR検査を拒否、抑制して患者数、死者数を少なく見せている」などというのはやめて下さい そうした人達が病院に押しかけ、クレームを入れ医療者を妨害し感染を広げます 命を懸けている医療者への侮辱以外の何物でもありません》

 押しかけるクレーマーによって業務を妨害されているのは、保健所も同様だ。4月25日、オンライン記者会見を催した、全国保健所長会によれば、現場の職員は過労死ラインの月80時間を超える時間外労働を強いられる一方で、「電話がつながらない」「PCR検査が受けられない」という嵐のような叱責や罵声を受けている、と訴えている。

 欧米のように万単位で死体の山ができているわけでもないのに、なぜこんなにPCR検査に人々が救いを求めているのかというと、やはりテレビが「恐怖」を煽っているからだ。

 一般社団法人「放送法遵守を求める視聴者の会」の調査によれば、テレビ朝日の情報番組「羽鳥慎一モーニングショー」で3月16~20日に放映された新型コロナ関連報道のPCR検査に関する報道時間のうち、39%が「全員検査せよ」という主張に割かれていたという。

 こういう「検査をしないと日本は死者で溢れ返る」みたいな終末論を、恐怖を煽るような衝撃映像とともに見せられた人たちに、パニックになるなという方が無理な話だ。

 例えば、この原稿を書いている今、某情報番組をつけていたら、「保健所で対応してもらえなかった」と不満を訴える女性がインタビューに答えていた。陽性患者かと思ったらそうではなく、熱があるのでPCR検査を受けさせてくれと訴えたが断られたという人だった。不安な女性はかかりつけ医に診察してもらって、レントゲンで肺には異常ないと言われたが、それでも不安で、再び保健所に検査を直訴したという。