来年に延期となった東京五輪に向けた準備が時間との戦いになる中、巨大な2つの力がせめぎ合っている。  一方では、科学者が新型コロナウイルスの予防ワクチンの開発を急いでいる。医療専門家の間では、夏期五輪のような大規模かつ国際的なイベントを安全に開催するには、ワクチンが欠かせないとの見解が増えている。ワクチンが来夏までに発見され、効果が証明された上で広く入手できるようになるかは、現時点で全く見通せない。  もう一方では、日本の大会組織委員会が想定外の巨額費用に直面しており、日本経済も厳しい逆風に見舞われている。コロナ危機前に1兆3500億円程度だった予算は、半分以上が税金だ。