アジアの投資家が7日朝に目覚めると、以前からおなじみの耳障りな声が聞こえてきた。ドナルド・トランプ米大統領が貿易問題をかざして威嚇していたのだ。トランプ氏は6日、中国が大量の米国製品を購入すると約束した貿易合意を守っているか「注視」しているとし、どのみち数週間後には分かると述べた。翌日発表された中国の貿易統計は、4月の輸出が増加した一方、輸入が減少したことが示された。中国税関総署によると、米国からの輸入は1-4月に人民元ベースで前年同期比3%減少し、トランプ氏の望み通りとはならなかった。貿易摩擦が再燃する舞台が整ったかのようだ。だが、次なる波乱は今までと異なる展開を見せるかもしれない。トランプ政権から新たに発せられる挑発的な言葉は、米大統領選を前に中国を悪役に仕立てようとする総力戦の一環だ。それは同時に、現行の貿易政策の失敗を暗黙のうちに認めるものでもある。2018~19年の貿易戦争は確かに中国に打撃を与えたが、その重商主義的産業政策の有意な変革を引き出すには不十分だった。