武田薬品が打ち出した「米国市場生き残り戦略」に注目すべき理由武田薬品工業が注目すべき戦略を打ち出した Photo:医薬経済社
*本記事は医薬経済ONLINEからの転載です。

 米国の公的医療保険は、日本のような皆保険ではない。公的医療保険としては高齢者(主に65歳以上)を対象とした「メディケア」がある。そのメディケアが支払う薬剤費のうち、とくに高額医薬品の支出が国家財政に直結する。そこで米国では22年に成立したインフレ抑制法(IRA)に基づき、メディケア&メディケイドサービス庁(CMS)がメディケア給付の一部医薬品について製薬企業と価格交渉し、その結果を薬価として反映する枠組みを導入した(詳細は「医薬経済ONLINE」3月1日号「トランプ政権と米国医療政策」参照)。

 この交渉で決まる薬価が「MFP(最大公正価格)」であり、つまり公的に定められた「上限価格」となる。対象に選ばれた医薬品は、民間保険給付の価格よりも下落してしまう。

 1月27日、CMSが第3回メディケア薬価交渉制度の対象医薬品を公表した。今後、企業との交渉を経て、27年3月までにMFPを明らかにし、28年1月1日から適用する予定だ。第3回交渉の特徴は、今後、メディケア・パートD(外来処方薬給付)だけでなく、パートB(院内処方薬給付)も対象となることだ。さらに注目されるのは武田薬品工業の「エンティビオ」(日本製品名:エンタイビオ)が含まれたことにある。

 ただ、本稿では「エンティビオが値下げされ、武田薬品が苦しくなる」ことを記すものではない。エンティビオの事例を通じて、製薬企業各社が、どのような戦略を練るべきかを示すこととする。