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エヌビディアは生成AI市場の急成長を追い風に、売上高・営業利益ともに驚異的な成長を遂げている。一方、かつて半導体業界の王者と言われたインテルは、PC市場の縮小と競争激化により売上が減少、2024年には赤字へと転落した。明暗を分けた半導体業界の新旧王者について、財務面から分析していく。
※本記事は、DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー電子版にて2025年3月21日に公開された好評記事(村上茂久氏の連載『財務とフレームワークで読み解く 強い会社のビジネスモデル』)のダイジェスト版です。
生成AIブームを追い風にした新王者
いま、世界的に注目を集めている企業の一つがエヌビディア(NVIDIA)です。エヌビディアは2024年7月に時価総額世界1位になると、その後アップルやマイクロソフトと抜きつ抜かれつを繰り返しながらも、依然として世界最高峰の時価総額を維持しています(図表1)。
出所:“Largest Companies by Marketcap,” CompaniesMarketcap.com, March 12, 2025.をもとに編集部作成。拡大画像表示
これまで主にゲームなどで使われていたGPU(Graphics Processing Unit)の設計に強みを持つエヌビディアが世界屈指の時価総額を誇る企業に成長した理由としては、近年爆発的に普及している生成AIの影響が大きいといえます。実際、エヌビディアは生成AIなどのために使われるデータセンター向けのGPUにおいて、9割以上という圧倒的なシェアを有しています(図表2)。
出所:NVIDIA’s Strong AI GPU Portfolio & Future Releases To Retain Their King of The Hill Positioning Throughout 2024より筆者作成
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また、エヌビディアは営業利益率も成長率も極めて高い水準にあります。2025年1月期の営業利益率は62%、売上高成長率も過去5年の平均で51%と高く、他の時価総額上位の企業と比較しても、その実力は圧倒的です(図表3)。
出所:各社のform10-kより筆者作成。それぞれの決算期は次のとおり。エヌビディア(2024年1月期)、マイクロソフト(2024年12月期)、メタプラットフォームズ(2024年12月期)、アップル(2024年9月期)、アルファベット(2024年12月期)、テスラ(2024年12月期)、アマゾン(2024年12月期)拡大画像表示
これほどの強みを持つエヌビディアについて、かつて「半導体の王者」の名をほしいままにしたインテルとも比較してみましょう。インテルは、2024年12月期通期決算において116.8億ドル(約1.8兆円)もの営業赤字を計上しました。大きな差が開いてしまった両社の業績を見ていきましょう。
成長するエヌビディア、売上を落とすインテル
まずは、エヌビディアの過去6年間の売上高、営業利益、営業利益率を図表4に示しました。
出所:エヌビディア 2020年1月期~2025年1月期のform10-kより筆者作成。 拡大画像表示
ここで真っ先に注目したいのが、エヌビディアの売上高および営業利益の成長率の高さと営業利益率の高さです。
エヌビディアの売上高の過去5年間の平均成長率(CAGR)は51%、営業利益のCAGRに至っては78%と、圧倒的な成長率を誇っています。実際、2021年1月期から2025年1月までの5年間で、売上高は8倍弱、営業利益は18倍弱に増えています。2025年1月期の営業利益815億ドルは、その前年の「売上高」609億ドルを超えるほどです。営業利益が前年の売上高を超えるなど、成長著しいスタートアップ企業であってもそうそう見かけるものではありません。
エヌビディアの成長率の高さは、他社と比較してみるといっそう際立ちます。時価総額首位の座をエヌビディアと争っているアップルでさえも、過去5年間の平均の売上高成長率は7%、営業利益成長率は13%です。インテルに至ってはそれぞれ-7%と-187%で、成長どころか減少してしまっています(図表5)。
出所:エヌビディア 2021年1月期~2025年1月期、アップル2020年9月~2024年9月、インテル2020年12月~2024年12月のそれぞれのform10-kより筆者作成。拡大画像表示
売上高に関しては、エヌビディアは半導体業界の王者と呼ばれたインテルを2024年1月期に抜き去ったかと思うと、その翌年(2025年1月期)にはインテルに対して2倍以上の差をつけるまでに成長しています。この数年で売上高を右肩下がりに落としているインテルとは対照的です(図表6)。
出所:エヌビディア 2021年1月期~2025年1月期、およびインテル 2020年12月期~2024年12月期のform10-kより筆者作成。なお、エヌビディアの2025年1月期は2024とグラフ上では表記するとともに、インテルの2024年12月期は、エヌビディアの2025年1月期と合わせるためにグラフ上では2024と表記している。他の年度も同様。拡大画像表示
営業利益率60%超のエヌビディアの成長をけん引する事業は? 両社の明暗を分けたのは? さらに深掘りした記事を読みたい方は、「DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー電子版」で!








