新型コロナウイルスの感染拡大を抑制しつつあるタイで、経済活動の再開と国民生活の復旧に向けた動きが本格化しようとしている。政府は5月3日以降、一部商業施設の営業を再開。徐々に規制緩和を実施していく方針だ。だが、ネックとして立ちはだかるのが、感染第2波のリスク。再び感染が広がれば、直ちに営業停止を復活させる見通しだ。新型コロナウイルスを完全に収束できるか否か。そのカギを握るのが、3月下旬から封鎖している陸路国境での密入国者への対応にある。(在バンコクジャーナリスト 小堀晋一)
マレーシア国境で
男女25人が密入国
マレーシア国境の街、タイ深南部ナラティワート県スンガイコーロック。マレーシアとタイの国境となる川幅30メートルほどのコーロック川で4月26日、国境警備体制を揺るがす“密入国”事件があった。
国境警備隊の第48部隊に密入国容疑で身柄を拘束されたのは、なんとタイ国籍の男女25人。入国管理事務所から約3キロ上流の地点でロープを川に渡し、一列になって渡河しようとしているところをパトロール中の隊員に発見、身柄を確保された。
同部隊では緊急配備を敷き、他にも同様の越境者がいないか捜索。一方で、確保した25人を入国管理事務所の検問所に連行して事情を聴取すると、全員がマレーシア国内の飲食店などで働いていたものの、新型コロナの影響で職を失っていたことが分かった。