「驚いたり、悲観ばかりしていないで、
前向きに考えていかなくては、と思っています」

 2020年4月、全国に「緊急事態宣言」が発出され、現在、多くのアーティストたちが、コンサートやイベントの実施を延期、中止せざるをえない状況になっている。

「まさに、僕たち音楽家の存在理由が揺らいだ春。演奏する場所がないということは、僕たち音楽家が存在理由を示す場所がないということなんです。僕は以前から、世の中が不幸になったとき『いちばん最初に奪われるのは音楽の自由だ』と言ってきました。でも、東日本大震災の時、音楽でまだまだやれることがある、と学んだので、自信はあるんです。

 いまはとにかく、みんなが家にいなくてはいけない時。音楽家として家にいても皆さんに届けられるものは、いくらでも考えられる。若いアーティストたちもインターネットなどで、『みんなで音楽をやろう』といった発信をしていますよね。

 実は、僕の場合は、『歌が好きで歌いたい』という歌手が多いなかで、曲作りがしたくて曲を作っているけれども、歌ってくれる人がいないから仕方なく自分で歌うというスタートだったんです(笑)。いまでも僕は歌うことの喜びよりも、聴いてもらえる喜びのほうが強い。いまだからこそ、皆さんに“聴いていただける歌”を、いろんなかたちで僕も発信していきますよ!」

 今年は令和2年――昭和、平成、そして令和を駆け抜けている、さださんにとって、このいまの時代はどう映っているのか。

「昭和天皇が崩御されて、暗いなかで始まった平成に対し、令和は明るく始まりましたよね。新しい時代が明るく幕開けしたことは、お元気なうちに退位された上皇様の贈りものだと思うんです。悲しんで始まるんじゃない、というのをもっと僕たちは前向きにとらえていかなくてはいけないと思うんです。いまの状況になって、みんなが手洗い、うがいに気をつけるようになった。そう考えると、ポジティブに考えられる要素だってあるんです。それによってインフルエンザに感染して亡くなる方は、例年よりも少ないとも聞きました。毎年違う病気が流行ることは考えられる。だから、驚いたり、悲観ばかりしていないで、前向きに考えていかなくては、と思っているんです。令和は始まったばかり。僕はまだ、令和にいっぱい希望を持っていますよ。いま、日本中が辛い思いをしていますが、令和がいい時代になるための最初の洗礼だと思って乗り越えていきましょう」

>>TVstation11(発売中)にて、さだまさしさんのロングインタビューを掲載。アルバム収録曲の制作秘話もお楽しみいただけます。