世界の2大経済大国、米中が再び衝突へ向かう中、中国は米国製半導体への依存度を下げる取り組みを着実に進めている。市場調査会社ICインサイツによると、華為技術(ファーウェイ)傘下の半導体設計会社、海思半導体(ハイシリコン)の1-3月期売上高は前年同期比で54%増となり、中国企業で初めて半導体売り上げの世界トップ10に入った。ハイシリコンの販売は90%以上がファーウェイ向けだという。トランプ政権が米国企業に対しファーウェイへの販売を禁止したことで、ファーウェイは米国サプライヤーに代わる供給元を探さざるを得なくなった。調査会社IDCによれば、中国国内の1-3月期のスマートフォン出荷は新型コロナウイルス流行の影響で20%減となったが、ファーウェイの市場シェアは前年同期の36%から43%に拡大した。その結果、中国国内のシステム・オン・チップ(SoC、スマートフォンに搭載されるCPUを含む集積回路)販売会社としては、ハイシリコンが米クアルコムを抜いてトップに立った。ハイシリコン製のチップセット「Kirin」はファーウェイの旗艦モデル「P40プロ」などのスマートフォンに搭載されている。中国の「5G(次世代通信規格)」通信網構築は、ファーウェイの基地局に半導体を供給するハイシリコンにとっても追い風となる。