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三菱商事が、再建を支えてきた千代田化工建設を連結子会社から持ち分法適用会社へと移行させる。2019年に700億円で取得した優先株を償還して約900億円を回収し、議決権比率は普通株ベースで33.4%へ低下する。表向きの理由は財務正常化と自立支援だが、市場では将来的な普通株売却をにらんだ「出口戦略」との見方も浮上する。三菱商事は約200億円の投資リターンを確保し、千代田化工はプライム市場復帰を視野に入れる姿勢を示す。長期連載『クローズアップ商社』内の特集『三菱商事「最強伝説」の終焉』の#5では、両社の説明と市場観測を交錯させながら、資本関係見直しの本質と残る33.4%の意味を読み解く。(ダイヤモンド編集部 金山隆一)
子会社から持ち分法適用会社へ
「ブリッジ支援」としての役割を完遂
三菱商事による“救済”の次のステージは、関係再構築か、それとも売却への布石か――。
三菱商事は、長年経営支援を続けてきた千代田化工建設との資本関係を大きく見直す。1月28日、両社は三菱商事が保有する優先株を、千代田化工が買い戻すことで合意した。未払い配当金を含めた三菱商事の回収総額は約900億円に上る。
これにより三菱商事の議決権比率は、事実上の支配力を持っていた水準から普通株ベースの33.4%へと低下し、会計上の扱いは「連結子会社」から「持ち分法適用会社」へと移行する。
市場関係者が注目するのは、この「連結外し」が単なる会計処理の変更にとどまらず、将来的な普通株売却を視野に入れた“出口戦略”の布石ではないかという点だ。これに対し三菱商事は、「優先株の早期処理と千代田化工の自立化促進が目的であり、関係を縮小する趣旨ではない」と説明する。
今回の決定の背景には、千代田化工の財務体質が一定の改善を見せたことがある。同社はかつて米国のLNG(液化天然ガス)案件「キャメロン」の工事遅延により巨額赤字を計上し、債務超過に陥った。19年に三菱商事が引き受けた優先株は、倒産回避を主眼とする“ブリッジ(橋渡し)支援”の性格が強かった。
実際、25年11月には懸案だった米国の大型LNG「ゴールデンパス」案件で契約条件の見直しが進み、長期的な損失リスクは一定程度整理した。再建局面では、三菱商事が連結下で財務・信用面を支える意味があったが、案件リスクが整理されたことで「親会社保証」の必然性は相対的に低下した。連結外しは、財務回復だけでなく、リスク構造の転換が前提になっている。
では今回の連結外しは、関係強化の再設計なのか、それとも静かな資本撤退の始まりなのか。次ページで探っていく。







