投資家が、割安に見える新興国のドル建て国債に手を出そうという気になっているなら、注意した方がよい。債券が安いのには理由があるからだ。新興国ではおそらく、新型コロナウイルスによる悪影響が今後さらに広がる可能性がある。投資家が利回りを求めれば、いつものようにより高リスクの資産へと動くだろう。だが、途上国への新型ウイルスの脅威は、米国や欧州に対するより強烈だ。多くの国の政府は、経済に対する財政支援が限界に達しつつある。これには根本的な不公平が背景にある。自国通貨建てで国債を発行する先進国はおしなべて、気軽に経済政策を実施することができる。歳出が増えても支払い能力に関する懸念を引き起こすことがなく、通常は低金利が通貨価値の急激な下落を招くことはない。