たまたま読んで嵌ってしまった『聖☆おにいさん』

 漫画を最も熱心に読んでいた中学生のころ、20歳を過ぎれば漫画などもう読まなくなるのだろうと思っていた。でも実のところ今も漫画を読んでいる。

 当時の自分が、成長することを過大に評価していたことは確かだろう。小学生のころは中学生が大人に見えていた。でも中学生になって、実は何も変わっていないことに気がついた。だから高校生になれば、きっと一気に大人びるのだろうと思っていた。でも高校生になっても、やっぱり大きな変化を自覚することはなかった。ならば大学生。でも変わらない。まさかいくらなんでもと思っていたけれど、社会人になっても変わらない。

 念を押すけれど、「少年の心をいつまでも」とか「汚れを知らないまま」的な美辞麗句を、自分に当てはめて書こうとしているわけではない。たっぷり汚れている。ところが未熟で稚拙で浅薄なままなのだ。結局はその繰り返しで、ここまで歳を重ねてきた。だからさすがに気づく。加齢と成長は少なくとも等価交換じゃなかった。判断力が飛躍的に増大するわけでもないし、包容力や寛容さが身につくわけでもない。基本は変わらない。ただ場数を踏んだ分だけ、想定する選択肢が多少は増えて、いろんな意味で狡猾になっているだけだ。頭の中は10代の頃とほとんど変わらない。

 とにかく今も漫画を読む。ただやっぱり、昔ほど量は読まない。毎週ほぼ欠かさず読んでいるのは週刊モーニングとビッグコミックスピリッツ。もちろんすべての連載を読んでいるわけではない。たぶん半分以下だ。

 これとは別に、単行本が出ると同時に買って読む漫画も、いくつかある。『聖☆おにいさん』はそのひとつだ。