アルジェリア軍の作戦は正しかったのか

 アルジェリアで起きたイスラム武装勢力による人質事件は、どうやら最悪の事態を迎えそうだ。昨日(1月21日)未明、プラント大手「日揮」は日本人7人と外国人3人の従業員の遺体を確認したと発表した。アルジェリア軍の強硬な作戦で多くの犠牲が出たことは確かなようだけど、現時点で詳細はまだわからない。犠牲者はさらに増える可能性もある。

 ありえない作戦だとアルジェリア政府を批判する人もいれば、決断は正しかったと主張する人も少なくない。これらを判断するためにはまだ材料がなさすぎる。だから事件の内容については、これ以上の言及は避けるべきだろう。今回書きたいことは別にある。

 事件発生から現在に至るまでテレビのニュースでは、イスラム武装勢力の幹部や指導者たちの映像や顔写真が、何度も映し出されている。とても凶暴そうな男たちだ。そう思った人は少なくないだろう。911やその後に続くアルカイダ絡みの報道でも、確かに彼らテロリストたちは狂暴そうに見えた。

 でもアラブの男は髭をあまり剃らない。もし日本にもそんな文化があるとしたら、やはり男たちは今よりは凶暴に見えるはずだ。個人差はあると思うけれど、少なくとも僕はそうだ。そもそも人相が悪い。数年前に髭を伸ばした時期があるけれど、そのときに撮られた写真はちょっと危ない。道を歩いていてこんな顔をした男が前から歩いてきたら、絶対に目を合わせないようにするだろう。実際はとても気弱で虫も殺せないような男なのだけど、そう思う人はまずいない。

 与えられた前提に、印象やイメージはとても簡単に影響を受ける。そして合わせてしまう。街で見かける指名手配犯の写真も同様だ。みな凶暴そうだ。でも町内会の温泉旅行で撮った写真でこんな顔を見かけたとしたら、印象はずいぶん違うはずだ。

 その典型がビンラディンだ。動画などでよくよく見れば、とても崇高な表情をする瞬間がある。見方によって聖人のように見える。少なくともブッシュ前大統領よりは、はるかに慈愛と知性を感じさせる表情だ。

 でも多くの人はそういう見方をしない。テロ組織であるアルカイダを創設した男なのだ。その前提が印象を決める。メディアによって強調されながら拡散される。