日本は少しずつ、確実に貧しくなっています。それでも平成の時代は昭和の遺産を食いつぶすように生きながらえることが出来ました。しかし、令和の時代はますます厳しさが増していくことは間違いありません。今はコロナのことで皆さん頭がいっぱいになっていますが、この危機が去った時にどんな経済状況が待っているのか。それを考えるとゾッとします。
 日本人の貧困化を食い止めるにはどんな方法があるのか?
 その一つは、一人ひとりが「投資家の思想」を持つことだと思います。これまで多くの日本人は「労働者の思想」しか持っていませんでした。しかしその思想では、もう未来がないのです。
「投資家の思想」こそが日本の未来を切り開くと私は信じています。少なくとも、その思想を持てた人は、生き残ることが出来ます。
 投資をすることがビジネスパーソンとしていかに大事であるかということを知っていただきたいと思い、私は『ビジネスエリートになるための 教養としての投資』(ダイヤモンド社)という本を書きました。ここで言う投資とは、チャートとにらめっこして売り買いを繰り返すことではありません。それは「投資」ではなく「投機」です。ギャンブルとなんら変わりありません。私が言う「投資」とは、もっと大局的でビジネスの本質に関わるものです。

多くの日本人が行っているのは<br />「投機」であって「投資」ではないPhoto: Adobe Stock

「農地」にたとえると
その違いがよくわかる

 私が行っているのは「投資」ですが、多くの日本人が行っているのは「投機」です。

 投資と投機。何がどう違うのかを、分かりやすく言い表せる人はいますか?

 なかなか難しいですよね。投資は資本を投じる。これは何となく漢字を見れば分かりますが、では投機は?

 私だったら「農地」にたとえます。

 皆さんは、自分が農地を持つとしたら、そこからどのような収益を得ようと思って買うのでしょうか。恐らく、大半の人は農地に作物の苗を植え、それが育ったら刈り取って販売し、売上を得ようとするでしょう。したがって、ここで大事なのは、その農地からどれだけの農作物が取れるのかということです。

 でも、なかにはこういう考え方をする人もいます。

「この農地は今、安い値段で買える。だから、今のうちにこの農地を買い占めて来年、値段が上がったところで売却すれば、その差額が利益になる」

 どうでしょうか。このような違いを聞くと、どちらが投資でどちらが投機なのか、何となくわかりませんか。

 そうです。「この農地からどれだけの農作物が取れるのか」を考えるのが投資で、「この土地がどのくらい値上がりするのか」を考えるのが投機です。つまり、前者は農業という継続的なビジネスが成功するかどうかを前提にして農地を選択しているのに対して、後者は単にその農地が値上がりするかどうかということだけを考えているわけです。

「農地を買う」場合は、多数の人が前者の考えのもとで購入するはずです。