日本は少しずつ、確実に貧しくなっています。それでも平成の時代は昭和の遺産を食いつぶすように生きながらえることが出来ました。しかし、令和の時代はますます厳しさが増していくことは間違いありません。今はコロナのことで皆さん頭がいっぱいになっていますが、この危機が去った時にどんな経済状況が待っているのか。それを考えるとゾッとします。
日本人の貧困化を食い止めるにはどんな方法があるのか?
その一つは、一人ひとりが「投資家の思想」を持つことだと思います。これまで多くの日本人は「労働者の思想」しか持っていませんでした。しかしその思想では、もう未来がないのです。
「投資家の思想」こそが日本の未来を切り開くと私は信じています。少なくとも、その思想を持てた人は、生き残ることが出来ます。
投資をすることがビジネスパーソンとしていかに大事であるかということを知っていただきたいと思い、私は『ビジネスエリートになるための 教養としての投資』(ダイヤモンド社、5月27日発売)という本を書きました。ここで言う投資とは、チャートとにらめっこして売り買いを繰り返すことではありません。それは「投資」ではなく「投機」です。ギャンブルとなんら変わりありません。私が言う「投資」とは、もっと大局的でビジネスの本質に関わるものです。
永守さんだって、孫さんだって
部下にすることができる
日本電産の永守重信さん、ソフトバンクグループの孫正義さん、信越化学工業の金川千尋さんなどは、いずれも日本を代表する著名経営者です。社会人になってまだ数年しか経っていない人からすれば、まさに雲上人といっても良いかも知れませんね。とてもじゃないけど、一緒に食事をしに行ったり、あるいは酒を呑んだりなんてことは、考えられないことだと思います。
でも、そんな人たちでも自分の部下にすることは出来るのです。
方法は簡単で、たとえば永守さんを部下にしたいと思ったら、日本電産の株式に投資すれば良いのです。そうすれば、永守さんはあなたのために経営戦略を練り、さまざまなビジネスのアイデアを考えながら、日本電産の社員を叱咤激励して働かせて、継続的に利益を稼いでくれるでしょう。その利益の一部を持ち分に応じて得ているのが、日本電産の株式を保有している投資家なのです。
もちろん、株主ですから永守さんがしっかり働いているかどうかをチェックする必要があります。何しろ、あなたの大事な資金を日本電産に託しているわけですから、日本電産がどういう会社で、どのような売上構成を持っていて、かつ業績や株価はどう推移しているのか、同業他社に比べて利益率はどうなっているのかなどについて、きちんと把握しておかなければなりません。
でも、痛快じゃないですか。イマイチな上司から理不尽な命令が飛んできたとしても、「フン、俺はかの永守重信に部下として働いてもらっているんだ」と思えば、腹の虫も納まるというものです。