日本は少しずつ、確実に貧しくなっています。それでも平成の時代は昭和の遺産を食いつぶすように生きながらえることが出来ました。しかし、令和の時代はますます厳しさが増していくことは間違いありません。今はコロナのことで皆さん頭がいっぱいになっていますが、この危機が去った時にどんな経済状況が待っているのか。それを考えるとゾッとします。
 日本人の貧困化を食い止めるにはどんな方法があるのか?
 その一つは、一人ひとりが「投資家の思想」を持つことだと思います。これまで多くの日本人は「労働者の思想」しか持っていませんでした。しかしその思想では、もう未来がないのです。
「投資家の思想」こそが日本の未来を切り開くと私は信じています。少なくとも、その思想を持てた人は、生き残ることが出来ます。
 投資をすることがビジネスパーソンとしていかに大事であるかということを知っていただきたいと思い、私は『ビジネスエリートになるための 教養としての投資』(ダイヤモンド社、5月27日発売)という本を書きました。ここで言う投資とは、チャートとにらめっこして売り買いを繰り返すことではありません。それは「投資」ではなく「投機」です。ギャンブルとなんら変わりありません。私が言う「投資」とは、もっと大局的でビジネスの本質に関わるものです。

「指示待ち」労働者は、<br />永遠に貧しいままであるPhoto: Adobe Stock

労働者は、自分の才能と
時間を搾取されている

 自分で特にこれをやりたいという気持ちが希薄なまま、社会人になっている人は大勢います。いや、大半がそうかも知れません。そうやって社会人になった後、上からの指示に従って「それが勤め人というものだ」などと自虐を交えながら、それでも日々の生活を支えるために働いている人たちのことを、私は「労働者1.0」と称しています。

 つまり、労働者としてのマインドセットしか持ち合わせていない人たちのことです。よく酒場などで、「あの上司、ふざけんなよ」などと愚痴を言いながら苦い酒を呑んでいる人を見かけますが、こういう人たちが典型的な労働者1.0です。むかつく上司の命令にも従わざるを得ないのは、労働者1.0のマインドセットしか持っていないあなた自身の問題でもあります。もし嫌な上司の命令を受けたくないのであれば、そこから一歩飛び出す方法を考えて実践すれば良いでしょう。それは、そんなに大変なことではありません。

 労働者1.0の人たちは、常に受動的です。いわゆる「指示待ち」ですね。上司から何か言われないと動かない人たちです。いつまで経っても使われる側でしかありません。それは、自分の時間と才能という自己資産を、他の誰かから搾取されているのと同じです。稼ぎだって、結局は自分の時間を切り売りしているようなものですから、「時間×時給」分の収入しか得られません。最近は「副業」なんてものが流行っていますが、あれだって結局、自分が働いて収入を得ているだけですから、2ヵ所、あるいは3ヵ所で労働者1.0をやっているに過ぎません。そもそも、そんなに副業をしていたら、いくら会社が副業OKでも、いずれ身体を壊します。