隙ありヌケあり、愛され上司の秘訣

 したがって、忙しい上司であればあるほど、話しかけやすい雰囲気を作るようにしてください。たとえば、1時間に一度は席を立って、コーヒーを取りにいきながらチーム内をフラフラしたり、自分の席で伸びをしてリラックスしている姿を見せる、といった「スキ時間」を作るのです。こうすることで、部下に「今、話しかけていいタイミングだな」と思ってもらえることができます。

 さらに自分が忙殺されている最中に話しかけられたときは要注意です。テンパっていると、「話も聞かなきゃ」「でも、この資料もあと30分で仕上げなきゃ」の板挟み状態の中、「何?聞いてるから言って」と部下の顔も見ずに「話しかけないでオーラ」全開の対応をしてしまいがちです。そんな上司の姿を見て、「あ、お忙しそうなんでいいです」と部下は席に戻ってしまうでしょう。部下のホウレンソウの機会を奪ってしまうことになります。

 こういうときは、どんなに忙しくてもいったん手を止めて、部下の顔を見てください。「ごめん、話聞きたいんだけど、今手が離せなくて。だけど1時間後だったらゆっくり話が聞けるんだけど、それで大丈夫かな」声に出して言ってみてください。1分もかからなかったはずです。この1分もかからない小さな行動が、「聞ける上司」になるための大きなステップなのです。

 女性に限らず、最近の若い社員は、部下から上司には話しかけるものではないと思っている傾向があります。「なんで上司に相談しないの?」と尋ねると、「え?話しかけてもいいんですか?」と真顔で聞き返されることもあるくらいです。

 そういった部下にはホウレンソウのルールを説く前に、「自分から話しかけてもいいんだ」という雰囲気を作ることのほうが重要です。そのためには、たまの名言よりも日常の5秒を増やしましょう。まず上司から積極的にコミュニケーションを取ってください。朝の「おはよう!」の挨拶1つ取っても、上司自らが明るく発声することで、チームの空気が活性します。確実に部下とのコミュニケーションに持ち込みたいのであれば、「おはよう」の後に今日のクライアント訪問の予定をセットで聞けば完璧です。

 また先ほどの「スキ時間」を使って、自分から声がけをすることもできます。「順調?」と用もないのに話しかけるというヌケ感が、部下に「話しかけていいんだ」と思わせてくれます。空気を読むのが得意な女性部下ならなおさらです。