そんなときに有効な声がけネタが「プロセスチェック」です。新しいプロジェクトを任せて困っていることはないか、新規担当になった取引先との関係はうまくいっているか、等々。ポイントは進捗確認のためのコミュニケーションではなく、「気にしてるよ」「相談しにきてくれていいよ」という上司サイドの気持ちのアピールとしての声がけだということです。

 自己肯定感の低い女性、もしくはがんばりを認めてもらいたい女性であれば、「上司は私のことを見てくれている」と感じてくれるでしょうし、実際問題を抱えている女性であれば「話を聞いてくれそうだから、例の件、相談してみようかな」と心を開いてくれるきっかけにもなるはずです。

あいづちは「相手に伝えるため」に打つもの

 以前、女性専門の転職支援ビジネスを行っている知り合いの女性社長から、「なぜ男性上司は話を聞けないのか」という話を聞いて、深く納得したことがあります。

 決して悪気があって、話を聞かないわけではない。しかし、「話せる上司ができる上司」という価値観から、部下に相談されると、「上司たるもの、さすがと思われることを言わなければ」というプレッシャーにも近い思い込みを感じ、聞くことが疎かになってしまうというのです。

 しかし、これからの時代、そのような価値観は早々に脱ぎ捨てていただかなければなりません。女性たちがコミュニケーションに求めているのはアドバイスだけではないのです。これからの上司が磨くべきは、部下の話を「聞けるようになる」こと、すなわち傾聴のスキルです。どれだけ部下の気持ちに寄り添うことができるかということです。そこで、その傾聴を態度で示し、女性に「聞いてもらっている」と思ってもらうためは、しっかりとリアクションしてあげることが重要です。

 部下の話を聞くとき、傾聴の基本であるあいづちをしっかり打てているでしょうか。たとえ資料に目を落とし、部下の顔を見ずとも、しっかりとあいづちが打てていれば、部下は「話を聞いてくれている」ことがわかります。しかし、ただ資料を見ているだけでノーリアクションだったら、部下はどのように感じるでしょうか?

 自分はしっかりと聞いているつもりでも、それが相手に伝わっていなければ、聞けているとは言えません。あいづちは何となく打つものではなく、相手に伝えるために打つものです。あいづちを打ちつつ
 「うん、うん、それで?」
 「……(相手の目を見ながら力強く頷く)」
 「マジで!?(すごいという気持ちを込めて。いささかカジュアルですが)」