もっと聞きたいという姿勢を言葉や態度で示すことができれば、部下はさらに心を開くことができるでしょう。やるべきことは非常にシンプルですが、あいづちの上手下手いかんでコミュニケーションの結果は大きく変わります。特に女性は上司の反応をしっかり窺っていますから、なおさら気持ちを入れてやっていただきたいと思います。

相手の気持ちにより添う
「共感」の声がけ

  そして、もう1つの欠かせないリアクションが「共感」の声がけです。
 「それ、わかるよ」
 「俺がお前でもそうしただろうな」
 「○○さん、けっこう細かいところ見るからねー(がんばったよね)」

  こうした相手の気持ちに寄り添った一言で、部下は
 「本当ですか?実は……」
 「ありがとうございます。もう少しお話すると……」
 「そうなんですよー。だから……」
  と、上司からの共感のリアクションに力を得ることができ、もっと心を開いて話すようになります。

「取引先がこんな無理を言ってきて」と不満を漏らす部下には、「取引先は値下げ交渉に持ち込みたいだけだよ」ではなく、「それはさすがに無茶だよな」と、まずは部下の気持ちに共感を示していただきたいのです。

 こんなやり取りを続けているうちに、女性部下は自分の話を聞いてもらえたという納得感とともに、上司が答えを言わずとも「あ、つまりあのとき、○○さんにはこう伝えれば良かったんですね。今わかりました」と自ら答えを導き出すことができることも少なくありません。コミュニケーションに共感を求める女性社員の話を「聞ける」ようになることは、彼女たちのモチベーションと能力を引き上げることにもつながるのです。

 以上5回にわたって、がんばりたいと思っている女性社員のやる気や能力を顕在化させ、マネジメントに役立てる方法をご紹介してきました。女性社員のマネジメントを通じて、「価値観の違う人をどうマネジメントするか」というスキルを磨いていただくことは、今後、外国人など異なる文化を持つ人と共に仕事を進める上でも、非常に重要になるはずです。

 女性に限らず、異なる価値観を持つメンバーに対して、その違いを理解し(ダイバーシティ)、さらにはその違いを活かして(インクルージョン)、チームとしての成果を最大化していっていただきたいと思います。


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