夏目漱石の格言

女性 日本では、教師だった人が、まったく別の業種に転職する際、いったんキャリアが途絶えてしまいますよね。

出口 え? 途絶えますか? 
 違う業種に行ってまったく違うことを一から広く学ぶのですから、かえって世界が広がるかもしれませんよね。
 夏目漱石がずっと昔に、黒人(くろうと:現代の表記で玄人のこと)、専門家は、局部に集中して細かいところばかり見るから全体の輪郭を忘れる。
 素人は、全体の把握においては、糜爛(びらん)した黒人の目より世界がきちんと見ることができる、という格言を残しています。
 専門性もすごく大事ですが、いろいろなことをやって横串を刺して全体を見ないと、個人の価値観もゆがんでくるような気がしてなりません。

 過去の僕の『哲学と宗教全史』全連載は「連載バックナンバー」にありますので、ぜひご覧いただき、楽しんでいただけたらと思います。