スーパーどんなものが「値上がり」「値下がり」するかは、コロナ明けの家庭にとって死活問題だ(写真はイメージです)  Photo:PIXTA

デフレか、インフレか
「コロナ明け」にやってくる大問題

 安倍首相は緊急事態制限が続く8都道府県についても、5月21日をめどに宣言解除の可否を判断するとしている。我々の日常生活が再び戻って来る日が近づいてきた。「コロナ明けの世界」は、デフレになるのかインフレになるのか。それぞれの専門家がそれぞれの立場で予測している。

 我々消費者にとって、モノやサービスの値段がこれからどうなっていくかは気がかりだ。感染の拡大・収束に左右されるとはいえ、どんなものが「値上がり」「値下がり」するかは、生活に直接響いてくる問題だからだ。

 もしこの先、世の中が厳しい不況に向かうなら、残念ながらデフレの影が忍び寄ってくることだろう。商品やサービスの需要が盛り上がらず売れない、そして消費者の所得も増えないという状況では、景気は上向きようがない。

 しかし、足もとではやっかいなことに、食品の価格が上がっている。スーパーに並ぶ野菜はびっくりするほど高い。ずいぶん昔のことのようだが、コロナ前には暖冬の影響により、野菜が豊作すぎて値崩れしているとの報道もあった。地元スーパーではキャベツ一玉100円を切っていたはずだ。しかし、今では2分の1カットでも200円近い。この要因は「コロナ自粛」にあると感じる。

 まず、緊急事態宣言によって、食品スーパーは休業を免れたものの、営業時間を短縮した店も多い。しかも、小池都知事が「スーパーでの買い物は3日に一度のまとめ買いを」と推奨し、回数を減らした消費者もいるだろう。

 つまりスーパーにとっては、営業時間を短縮し、その時間内に訪れる買い物客も自粛前より減るわけだから、売り上げを確保するには値段を下げないほうがいい。さらには「3密」を防ぐために、特売やポイントアップ・デーを取りやめてもいる。たとえ割引がなくても、お客は必ず買ってくれるのだから。

 逆に、同じ食品でも牛肉やマグロ、ウニなどの高級食材は値を下げているという。飲食店が休業し、引き取り手がないからだ。冷徹な市場原理がこうしたところに働いている。