写真:西浦博教授
東京都の記者会見に同席して発言する「8割おじさん」こと北海道大大学院の西浦博教授(3月30日) Photo:JIJI

新型コロナウイルス対策に関する安倍晋三首相の一連の意思決定に対する世論の評価は低い。その理由は、安倍政権の意思決定プロセスに問題があるためだと筆者は考える。特にコロナ対策で陣頭指揮を執る「専門家会議」が、有事を想定せずに「平時」と同じパターンで発足されたことに問題の本質があると考える。コロナ禍を奇貨として、日本の政策決定システムの抜本的な見直しを考えるべきではないか。(立命館大学政策科学部教授 上久保誠人)

専門家が持論をメディアやSNSで発表し
それに従うという構図に違和感や不満

 安倍晋三首相は5月14日、新型コロナウイルス対策で全国に発令した緊急事態宣言の一部について解除。13の「特定警戒都道府県」のうち茨城、岐阜、愛知、石川、福岡の5県と、特定警戒ではない34県の合計39県で解除すると表明した。また、首相は解除しなかった8都道府県(北海道、東京、神奈川、埼玉、千葉、京都、大阪、兵庫)について「5月21日をメドに専門家に評価してもらい、可能であれば5月31日を待つことなく解除する」と説明した。

 5月16日0:00時点の日本国内の新型コロナ感染者は合計1万6237人(死者725人)だ(*)。

 また、朝日新聞「全国で新たな感染55人 13県で2週間感染者ゼロ」(5月14日)によれば、安倍首相が緊急事態宣言の一部解除を発表した14日までの1週間で「感染者がゼロの県は、特定警戒都道府県に指定されている茨城、岐阜を含む22県」。そして、「特定警戒都道府県のうち、解除の方向となった福岡、愛知両県では、最近1週間での感染確認はいずれも計6人」にとどまり、「石川県はほぼ連日1~4人の感染が確認されているが、クラスター(感染者集団)の発生が確認された病院の関係者」だという。

 さらに緊急事態宣言の解除対象とならない東京都でも、新規感染者数は5月3日を最後に12日連続で50人を下回っている(東京都「都内の最新感染動向」のPCR検査陽性者の発生動向〈確定日別による陽性者数の推移〉、5月15日時点)。現時点でこの数字を見る限り、新型コロナウイルスの感染拡大はピークを過ぎたといっていい状況だろう。