8月8日、野田首相と野党第1党の自民党・谷垣総裁は党首会談を行い、「近いうちに」解散・総選挙を行うことで合意した、と伝えられている。「近いうちに」の時期を巡っては、10月解散、11月中・下旬投開票を軸に諸説が飛び交っているが、総選挙が行われれば、「大阪維新の会」や「国民の生活が第一」など、第3極を目指す動きとも相まって、政界の一層の流動化・再編は避けられないものと思われる。
仮に政界が再編されるとした場合、有権者にとってどのような再編が望ましいのか、実現の可能性はさておき、理想的な(≒わが国の現状に照らして最も望ましいと思われる)再編の基軸について考えてみた。
構造改革の是非は
もはや対立軸ではない
20世紀後半のほぼ半世紀にわたるわが国の奇跡の復興を支えた条件は、①冷戦構造、②高度成長、③人口の増加、の3点であったと考えられる。21世紀に入ると、この3条件は、①グローバリゼーション、②低成長、③少子高齢化、と180度様変わりした。
これだけ外部環境が激変した以上、20世紀後半の社会・経済システムを「構造改革」しないで済ませられるはずがないと考える。要するに、20世紀のわが国の繁栄を支えたレガシーシステムを温存し、あるいはその延長線上で、明るい青写真が描けるはずがないのだ。そうであれば、構造改革を行うことの是非は、もはや政策の対立軸とはならないのではないか。構造改革を行うことは、むしろ与件として政策の対立軸を想定することが望ましいと考える。
第1の対立軸は
成長か否か
では、構造改革を与件として考えたとして、政界再編の対立軸をどこに求めるべきか。私見では、先ず「成長か否か」を問うことが何よりも重要だと考える。言い換えれば、引き続き市民の生活水準の維持・向上を目指すのか、それとも生活水準を引き下げてもいいと考えるのか、ということである。GDP(より正確に述べれば、1人当たりGDP)の成長を目指すのか、ブータンのように全く別の尺度を取り入れるのか、と言ってもいいだろう。