製薬大手各社が新型コロナウイルス予防に有望なワクチンの生産実現に徐々に近づく中、ワクチンへのアクセスを要求する各国政府は「費用負担」という厳しい現実に直面している。こうした緊張関係は、フランス製薬大手サノフのセルジュ・ヴァンベルグ会長がエドゥアール・フィリップ仏首相から電話を受けた際に表面化した。状況を知関係者によると、フィリップ首相は、仏有力企業の1つであるサノフィの最高経営責任者(CEO)が一部のインタビューの中で、同社が開発する可能性のある新型コロナウイルスのワクチンを一番先に手にするのは米国だろうと語ったのはなぜなのか、と問いただした。これに対しヴァンベルグ会長は、米国を優先するとサノフィが約束したわけではないがCEOの発言は当たり前の内容だと指摘した。つまり、ワクチンの有効性が証明される前に生産拡大に乗り出す財政面のリスクを軽減してくれる国で、サノフィはワクチン生産を開始するという。