◎できない欲望は、放っておく

 Aさんに“MORITA”について簡単に説明をしました。仕事で頑張ろうという生の欲望、また会議での役割をきちんと果たしたいという欲望も強くみられます。その際に便意が生じて下痢をするのは、とても邪魔なことです。それを何とかしたいという欲望も当然沸いてきます。

 欲望には何とかできることと、できないことがあります。

「できることは頑張ってやってみましょう。しかし、できないことは、あるがままに放っておくしかありません」

「できないことを何とかしようとすると、それに注意が向いて感覚が鋭敏になり、さらに注意が向いて悩みが一層強くなります。」

 と精神交互作用について説明をしました。

◎「丸ごとの自分」をあるがままに受け入れる

 Aさんは「会議の前の便意が何とかならないか、本当に困っています」とそのつらさを語りました。

「Aさんが便意をなくしたいと思うのは当然ですが、便意のない自分にはすぐにはなれません。便意がある時もない時もある、いろいろ変わる自分が本来の自然な姿です。まずは『今の自分のままやっていればよい』と丸ごとの自分をあるがままに受容することから始めましょう」

「生活していればよいときも悪いときもある、成功も失敗もある、それが人間としては自然で、都合の悪いところを“のけ者”にすることは不自然なことです」

 と、「今の自分のまま」の大切さを伝えました。

“MORITA”では「過去を謀らず、未来を慮らず」というように「今、ここ」を大切にします。そして治療では、今の自分のまま踏み出して体験することを促していきます。