重要なプレゼンや試験で腹痛に…
ついには仕事に支障が出始めたMさん(40歳)
通勤経路のトイレチェックが日課
緊張するとお腹を壊してしまう
Mさんは、中堅電子部品商社のサラリーマン。大事なときに、いつもお腹が痛くなるので、通勤経路や営業経路でのトイレチェックは欠かせない。しかも「洋式便器かどうか」は重要な問題だ。
Mさんは子供のときからのクセで、ズボンを全部脱いでからでないと大便ができない。和式便器だとどうしても、ズボンが脱ぎにくく用が足せないのだ。普段の通勤時でも、いつも利用している乗換駅のトイレの個室が気になる。自分は行きたくもないのに、誰も入っていないとなぜか安堵する。
緊張するとお腹を壊してしまう体質を、人生で最初に自覚したのは歯医者の待合室。小学生だったMさんは、歯に麻酔の注射をされる恐怖で心臓が口から出そうだった。そのドキドキのあとに腹痛がきた。そして、痛みと下痢で歯医者のトイレから一歩も出られなくなってしまったのだ。心配した母がトイレのドアをノックしても、なかなかお腹の痛みはおさまらなかった。
大学受験の朝もそれは起こった。前夜から緊張で眠れなかったMさんは、予定より早く自宅を出たものの、駅に着くと前夜から降った雪で電車が遅れていた。
「乗るはずだった電車に乗れない!」
そう思った途端、ドキドキとともに腹痛が襲ってきた。慌てて入った駅のトイレには長い行列ができていた。仕方なく並んだが、やっと入れた個室は苦手な和式便器で、お腹が痛いのにも関わらず、用が足せなかった。そのあとの試験は散々で、大学受験に失敗しまった。
就職活動で、一流商社の最終面接に残ったときもそうだった。三次面接が終わり、意気揚々と出かけた面接会場の廊下で急にお腹が痛くなった。慌ててトイレから戻ったものの、そのときは既に名前を呼ばれた後だった。
焦って役員室に入った。しかし、汗だくで、しどろもどろの受け答えをした自分が、入社試験に通るはずもなく、もちろん不採用。それがトラウマになってしまったためか、その後の他社の面接もうまくいかず、親のコネで何とか電子部品の専門商社に入社することができた。