5月15日、トランプ政権は米国の技術などを用いた半導体をファーウェイに供給することを禁じた。端的に、米国は5G通信に大きな影響力を持つファーウェイへの供給網を徹底して封じようとしている。これを受け、半導体の受託生産最大手、台湾のTSMCがファーウェイからの新規受注を停止した。同社は、アプライドマテリアルズなど米国企業の装置を用いている。

 TSMCは、アリゾナ州に最先端の生産施設を建設する計画を固めたようだ。それは、トランプ政権が中国への供給網の遮断をこれまで以上に重視していることを示唆する。同政権の対中強硬姿勢は、韓国サムスン電子など他国の企業にもかなりの影響を与えるだろう。

 制裁強化はファーウェイにとってかなりの痛手だ。同社傘下の海思半導体(ハイシリコン)の半導体設計技術は世界的に高い。しかし、半導体の生産はTSMCに依存している。つまり、中国はソフトの分野では競争力を高めているが、生産能力は十分ではないとみられる。“中国製造2025”の下、共産党政権は補助金政策を通して先端分野での生産能力向上にこれまで以上にコミットし、米国の圧力に対抗しようとするだろう。中国の国家資本主義体制はますます強くなる。

 安全保障面では、南シナ海における米国のプレゼンスが低下している。一因と考えられるのが、米空母セオドア・ルーズベルト艦内で新型コロナウイルスの集団感染が発生したことだ。一時期、セオドア・ルーズベルトがグアムに寄港し続けたことで、中国への抑止力は低下している。

 その間、中国は南シナ海における新たな行政区を設置した。これに、フィリピン、ベトナムが反発している。また、中国の空母「遼寧」が沖縄本島と宮古島の海域を初めて往復するなど、アジア・極東地域の安全保障体制は揺らぎ始めた。

 コロナショックを境に米国は自国第一の考えをより強めている。一方、中国は硬軟を駆使して覇権強化への取り組みを強めている。経済面において米中の相互依存度は高まっているが、当面、両国の摩擦は一段の激化に向かう可能性がある。

わが国は米中との「板挟み」状態に
いかに対応するか

 わが国にとって、安全保障の維持・強化において米国との関係は不可欠だ。同時に、経済面では中国の重要性が増す。わが国は自力で米中板挟みの状況に適応しなければならない。

 この点を考える際、韓国が参考になるだろう。

 韓国も米中板挟みの状況に直面してきた。過去の保守派政権下、韓国は米国との同盟関係を基礎に安全保障を固め、半導体輸出を中心に中国との経済関係を強化できた。それは経済の安定に重要な役割を果たした。