まず、ハイヤーを使えるのは「夜討ち朝駆け」が必要な部署だ。

 社会部なら警視庁、検察、国税担当。政治部はほぼ全員、経済部は日銀や財務省、外報部は外務省担当といった感じだ。

 社会部の場合、朝は取材先の自宅から少し離れたところで待ち構え、自宅から出たところから駅まで一緒に話す。逆に夜は駅で待ち構え、自宅まで歩きながら話すという取材手法だった。

 前述の通り、記者の取材相手は「公務員」が多く、守秘義務がある。そこを突破するために、こんなばかばかしいことをするのだ。

 必然的に早起き、夜更かしになるのは仕方ない。もちろん、日中は取材し、原稿を書いているわけだから、残業時間がエライことになるのは想像できると思う。

「何もないよ」で撃沈

 思い返すもばかばかしい昭和の筆者の社会部記者の1日を紹介したい。

 朝5時、自宅前にハイヤー到着。近所のおばちゃんたちに「何様」と白い目で見られる。

 6時半、取材先の自宅近くに到着。「不審者」と通報される。以後、寒い時期でも半袖、半ズボンのジョガーを装う。

 取材先が自宅から出てきてようやく仕事が開始。駅までの15分、雑談の末に「何もないよ」で撃沈。

 夕刊時間帯は「落とさない」(※他社にすべて載っている記事が自社には出てないことを避ける)ために、記者クラブでゴロゴロ。報道文があればまんま処理してまたゴロゴロ。