――非力学的な腰痛は全体の1%なのに、いろいろと怖い病気があるんですね。ところで「残りの2%」の腰痛はどのようなものなのでしょうか。

 力学的でも非力学的でも曲げたり伸ばしたり、重いものを持つと悪化するという筋骨格系疾患に共通する特徴がありますが、このような負荷で痛みに変化がない場合は内臓疾患を疑い、これが腰痛全体の2%を占めます。

 急性発症する腹部大動脈瘤破裂といった循環器の重篤な病気や、尿路結石、腎盂腎炎などの泌尿器の病気、膵炎、膵臓がんなど消化器の病気、子宮や卵巣疾患など婦人科の病気でも腰痛が起こります。

 特に痛いのは結石で、人が感じうる痛みの中でも「尿路結石」は最大級といわれていますね。

治りにくい腰痛の背後には
「心の問題」がある場合も

――腰痛の原因をまとめると、まず筋骨格系と内臓系に分かれ、筋骨格系は力学的と非力学的な原因に分かれる、ということですね。大半は力学的な筋骨格系の問題で、これらは重症化しない、という理解でよいですか?

 確かに腰痛のほとんどは良性疾患であり、自然軽快する場合が多いのですが、中には慢性、難治化することがあります。その多くが「心因的腰痛」で、心の問題によって腰痛がひどくなっている状態です。

 近年、原因不明の腰痛、治りにくい腰痛の背後には、心の問題が関わっている場合が多いことが分かってきました。

 実はうちに来る腰痛の患者さんの多くはこの腰痛で、検査を行っても腰痛を引き起こすような骨の異常や病気が見当たらず、また画像検査で骨の異常が見つかっても軽微であり、必ずしも訴えている腰痛の症状と一致しないことも多々あります。

 生命に関わる重篤な病気ではありませんが、自然に良くなることは期待できないので、慢性痛に対する認知行動療法などを行っている整形外科や痛みセンターの受診をお勧めします。