国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は2014年、化石燃料からの二酸化炭素(CO2)排出量が増加の一途をたどり、2020年に400億トンに達すると予測した。一部のシナリオでは、2050年までにさらに倍近くに増加するとみられていた。新型コロナウイルスの感染が広がる前でさえ、こうしたシナリオの現実味は薄れていたが、今ではさらに可能性が低くなっている。国際エネルギー機関(IEA)が昨年明らかにした排出量は330億トンだった。今年は新型コロナを受けて世界各地で経済活動が閉鎖されたため、8%減少すると予測している。環境研究組織ブレイクスルーインスティテュートのゼケ・ハウスファザー所長は、「すでに排出量のピークに近づいていた」と指摘する。新型コロナに起因する減少により、「2019年の水準に戻らない可能性も高い」との見立てだ。
コロナで気候変動に猶予、好機を生かせるか
CO2排出量が横ばいになっている可能性が高いが、さらに大幅削減が必要
有料会員限定
あなたにおすすめ