今後、米中摩擦は先鋭化するとみられる。ただ、経済面における米中の相互依存度は高く、両国はどこかで決定的な対立を回避せざるを得ないとみる。そうした状況を念頭に、わが国は米国とは安全保障面の関係を維持・強化しつつ、経済面において中国と適切な関係を目指さなければならない。

米中のはざまで
先行き懸念高まる韓国経済

 5月、外国為替市場では韓国ウォンが米ドルに対して売られ、ウォンの為替レートが減価(ウォン安が進行)した。その背景には、中長期的に見た場合、韓国経済の実力が低下する懸念は高まることがある。

 具体的には、コロナショックが韓国の輸出を減少させ、所得・雇用環境の不安定感が高まっている。4月、韓国の中小企業の就業者数は前年同月から53.8万人減少した。労働市場の状況はリーマンショック時よりもはるかに深刻だ。新型コロナウイルスの感染がどう収束するかにもよるが、状況次第で韓国経済は長期の停滞に陥る可能性がある。

 5月、ソウルの株式市場ではKOSPI(韓国総合株価指数)が反発した。それは、原油価格の反発や米国の経済活動の再開、GAFAなど世界の主要IT企業の成長期待に支えられた世界的な株価高に影響された部分が大きい。為替レートの推移と比較した場合、韓国の株価動向が経済の実力を反映しているとは考えにくい。

 コロナショック発生以前から、韓国のファンダメンタルズ(経済の基礎的な条件)は徐々に軟化した。革新派(左派)の文政権は、最低賃金の引き上げなどを行い、企業経営に制約を課してしまった。それが雇用を減少させた。

 その上、米中の通商摩擦から世界のサプライチェーンが混乱し、韓国の輸出は下り坂を転がり落ちるような勢いで減少した。景気減速懸念が高まる中、韓国では賃上げなどを求める労働争議が激化し、企業経営はさらに圧迫された。海外脱出を図る企業も増えた。

 その上にコロナショックが発生し、世界経済が大混乱に陥った。経済の専門家の中には、「半導体を中心に輸出によって成長を遂げてきた韓国経済は、これまでに経験したことがないような逆風に直面している」と指摘する専門家もいる。1~3月期の実質GDP成長率は前期比マイナス1.3%に落ち込んだ。

 需要項目別に見ると、もともと厚みを欠く内需の落ち込み方が著しい。短期間で輸出が回復し、所得・雇用環境が安定する展開は期待薄だ。韓国経済が本格的な景気後退に陥るとの懸念などが高まり、資金が海外に流出してしまっているようだ。