日銀が金融緩和の手段としてETF購入を始めたのは2010年だが、これまでの間に何度かの購入額の増額と購入対象のルール変更が行われてきた。投資家や運用会社にとって、これらの変更はそれなりに興味深かったり、ビジネス的に重要だったりする。ただ、細かな実施方法は脇に置いて、そもそも日銀が上場株式を買い、大株主になることがいいことではないと筆者は考えている。幾つかの理由でこの政策は「筋が良くない」。

 しかし、日銀はメッセージとして、「必要があればちゅうちょなく」あれこれできることがあると言い続けなければならないと考えているようだ。そのため、ETFの購入拡大もその対象として確保しておきたいのだろう。しかし本音では、彼らはETFを持て余しているのではないだろうか。

 なお、あらかじめ申し上げておくが、筆者は、日銀の金融緩和政策を大いに支持している。しかし、その政策パッケージの中でETFの買い入れは、手段として不適切であると考えている。

株式保有構造の善悪
民間の方が企業価値評価はうまい

 経済を極端なケースに二分した場合、(A)株式を民間が100%保有する状態と、(B)日銀や年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のような公的機関が大きな額を持って残りを民間が持つ状態とは、どちらがいいのだろうか。

 上場企業としては、誰が株主であっても企業価値を最大化するようにビジネスに注力するのだから、経済活動全体に対して株式保有構造が直接的かつ大きく影響するわけではないように見える。

 しかし、まず株式市場には上場企業の株式への評価やファイナンスを通じて、各種のビジネスに対する資金供給を調整する役割がある。公的機関の方が民間の経済主体よりもこうした活動をよりうまくできるとは考えにくい。

 政策的な目的や行動の制約がある公的な株主よりも、経済的動機に裏付けられた民間の方がビジネスの評価をうまくできると考えるのが普通の経済常識だろう。