窮地に立たされたトランプ米政権がかつてないほど山積した国内の課題で苦闘する中、外国の指導者たちは友好的な者もそうでない者も、乱気流にはまった型破りな政権に対する自国の戦略を再調整している。中国、ロシア、ドイツは今やドナルド・トランプ大統領を11月までどう扱うか決めたように見える。ドイツは彼を無視し、ロシアと中国は米国の混乱に乗じようとするだろう。ロシアにとってこれは、自国の経済問題と新型コロナウイルスの流行を見て見ぬふりをし、リビア内戦への関与を強めることを意味する。一方、中国の指導層は、トランプ氏の懐柔は無理だが彼を恐れるべき理由もほとんどないと考えているようだ。2008年よりひどい経済危機、1968年以降で最も大きな人種的・政治的不和の高まり、対立の絶えない政治環境を試すことになりそうな大統領選――こうした好機を無視する中国の指導者はいないだろう。特に習近平国家主席の場合はそうだ。