韓国経済は危機的状況

 韓国銀行は5月28日、利下げに踏み切った。新型コロナによって世界経済の低迷が続いており、輸出依存度の高い韓国経済のファンダメンタルズは急速に悪化している。それに加え、米中対立の板挟みに喘いでいる。そうした状況下、韓国経済は消費・投資・輸出・雇用のいずれの面でも深刻な状況となっている。

 特に文政権にとって深刻なのが若年層の失業率の高止まりである。労組が賃上げを求め続けた結果、企業の新卒学生の採用意欲が落ち込み、就業機会自体が減少しているのだ。

 そこに新型コロナや米中の対立で、韓国の輸出は急減してしまった。しかし、文政権の対応は、財政出動を通じて資金をばらまくだけであり、経済回復へのビジョンは見えない。

 韓国の世論調査会社、リアルメーターによれば、一時70%を超えた文政権支持率も足元では60%を割り込んだ。若者を中心に失業への不安から、為政者への批判は徐々に増していくだろう。

 もちろん経済状況が苦しいのは韓国だけではない。日本や欧米も同様である。しかし、韓国経済は輸出依存度が高いだけに、他国よりもより深刻な打撃を受ける可能性があるということだ。

財閥たたきは韓国経済の困難を一層深める

 このような時、韓国経済を救えるのは輸出型財閥企業である。

 李明博(イ・ミョンバク)元大統領もリーマンショック後、財閥系企業の活力を最大限活用し、OECD諸国の中でいち早く国内経済を回復させた。財閥企業は韓国にとって極めて重要な存在なのだが、文政権は反財閥を鮮明にしている。

 文政権は就任当初から、財閥経営への発言力を高めたいと動いてきた。そのため、財閥企業で労働組合を活動させ、それを通じて影響力を発揮しようと画策してきたのだ。

 一番の標的となったのが韓国最大の財閥、サムスングループある。サムスンでは創業以来伝統的に「無労組経営」を行ってきた。だが昨年12月、サムスングループの経営幹部2人が「労働組合および労働関係調整法」違反の罪で実刑判決を受けたことから、グループ内の労組結成が認められた。この背後に、文政権の暗躍があったことは想像に難くない。

 そんなサムスンに対して、文政権はさらなる圧力の行使に出た。

 ソウル地検は4日、15年のグループ傘下2社の合併と、グループの事実上のオーナーである李在鎔(イ・ジェヨン)副会長の、グループ経営権継承をめぐる不正疑惑に絡み、李氏と元サムスンの最高幹部2名の逮捕状を請求した。李氏らには資本市場法違反(不正取引及び相場操作)、株式会社の外部監察に関する法律違反の容疑が適用されている。

 サムスン側はこれに強い遺憾の意を示し、国民の視点で捜査継続や起訴の可否などを審議してもらうため、検察捜査審議会の招集を求めている。

 このような動きは、政権と財閥の対立を一層先鋭化させ、新型コロナからの経済回復に一層の足かせとなっていくであろう。