休業手当は
月収の4割程度

 休業手当にはもう一つ大きな問題がある。

 日本労働弁護団常任幹事の指宿昭一弁護士は「平均賃金にはカラクリがあって、平均賃金の6割ならいいじゃないかと思われるかもしれないが、普段の賃金の4割くらいになってしまう」と話す。

 どういうことか。

 前述したように労基法第26条は「平均賃金の6割以上」を休業手当の額としている。

 平均賃金は通常、「直近3カ月の賃金総額を3カ月の総日数で割って算出する(1)」。

 たとえば、月給30万円の正社員Aさんの場合、3カ月の総日数が92日なら30万円×3÷92≒9782円となる。

 ただし、実働日が少ない非正規労働者(時給制や日給制で働く人)はこの計算だと平均賃金が著しく低くなることがあるため、「実労働日数あたりの賃金の60%(2)」を計算し、(1)か(2)の高い方を採用する。

 時給1000円で週3日8時間働いているBさん(月収は9万6000円)の場合、(1)は3130円。一方、実労働日あたりの賃金は1000円×8時間=8000円で、その60%(2)は4800円。(1)より(2)が高いので(2)が平均賃金となる。

 では正社員のAさんと非正規社員のBさんがもらえる休業手当は、いつもの賃金とどれぐらい異なるのか。

 会社が支払う休業手当が平均賃金の法律ぎりぎりの6割、1カ月の就労日が22日(土日休み)とすると……。

 Aさんの場合、休業手当は「9782円(平均賃金)×22日(就労日)×6割≒12万9122円」となり、通常の月給の43%となる。

 一方、Bさんの場合、「4800円(平均賃金)×60%×12日(就労日)=3万4500円」となり月収の35.9%となる。これだけの額では到底生活していけない。