『コピーライターじゃなくても知っておきたい 心をつかむ超言葉術』をダイヤモンド社から出版した阿部広太郎氏が、それを記念して自身の講座『コピーライター養成講座 先輩コース』の生徒たちに課題を出した。
「この本のキャッチコピーを考えてみよう!」という課題だ。
例えば本屋さんのPOPや新聞広告などにドーンと踊って、思わず本を手に取らせる言葉を考えてみようという趣旨。まさに本に書かれていることの実践編である。
集まったコピー、80案はどれもレベルが高く、面白いものばかりだった。
その中から特に優秀な3本を厳選し、阿部氏と編集担当・亀井が公開添削を行なった!

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まずは佳作から発表

<佳作>

変わりたい人の、やさしい劇薬

今井郁弥

 人は本を手にとる時に、心のどこかできっかけを待っているのではないかと思います。変わりたい、という思いもその一つ。言葉を選ぶことで、生き方を選ぶことができる。人は変わっていけると信じて書いたのが「超言葉術」です。
 ただ、不安を掻き立て、強く煽ることは決してしたくありませんでした。優しく背中をそっと押す、心にしみこむような読後感を目指して書き上げていきました。
 それを今井さんは「やさしい劇薬」とひと言で表現してくれました。「真逆の言葉を組み合わせると強い意味合いが生まれる」という本でも解説したことを実践してくれたことも嬉しかったです。(阿部)

「変わりたい人」と、まず読者を限定しているのがいいですね。確かにこういう本に興味を示す人は「変わりたい」という欲求を心の底に持っているはず。「やさしい」と「劇薬」という真逆のイメージを持った言葉をつなげたのもとても効果的だと思います。
 ただあえて言うなら、キャッチコピーとしてはやや難しいかな。本の中身を知らない人には意味がちょっと届きにくいかもしれない。(亀井)

<佳作>

キミは今すぐ変われない。
言葉は今すぐ変えられる。

堀内香子

 幅広い世代の方に読まれている中で、「超言葉術」を特に「就職活動生の方たちに向けた本」として捉えてみよう、という堀内さんの切り口から生まれたコピーです。 
「言葉が大切だ!」と言われても、聞き慣れた私たちは、素通りしてしまう。けれど、「キミは今すぐ変われない」という一文目に「え?」と疑問符が浮かんだところに、「言葉は今すぐ変えられる」と渾身の一撃が心に届く。 
 時間はかかるかもしれないけど、言葉を変えることで、キミは変わっていける。私が伝えたかったことを、心に届くかたちでコピーにしてくれていました。(阿部)

「変わりたい」と思っている読者に、まず「変われない」とジャブを喰らわせて振り向かせ、次の文で「でも言葉はすぐに変えられるんだよ」と気付かせているところが巧みですね。同じ文章の主語と語尾を少し変えて並べるという美しい構造で、心をつかまれます。
 唯一の弱点は、キャッチコピーとしてはやや文章が長いという点かな。文章が長いとどうしても文字が小さくなり、物理的に目に入りづらくなります。(亀井)