米商務省は5月、中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)に対する法的締め付けを強化した。現在起きているこうした事態の影響の大きさを理解することが重要だ。米国は、単に不適切な行動を取る企業に制裁を科しているのではない。中国とつながるコンピューター技術のサプライチェーンを断ち切ろうとしている。これは、世界経済の少なくとも一部を2つの勢力圏に分断する動きを加速させるものだ。その代償は一部の人々が考えているよりも大きいだろう。20年前、中国が経済的に発展すれば安定した世界秩序の一翼を担う「ステークホルダー(利害関係者)」になると期待されていたことからすると、これは悲劇でもある。しかし、習近平国家主席が支配する中国は以前より権威主義的で攻撃的になっている。自由世界を脅かす中国の影響力拡大を防ぐには、部分的な中国切り離し策が必要なのかもしれない。