「どうやって美しさを保つ?」「50代で結婚できる?」「年老いた親をどうする?」「50代で仕事を失ったら」「大人であることのメリット」……など、大人の女性のリアルを綴ってフランスで大人気となったブログを元に生まれた書籍『大人が自分らしく生きるためにずっと知りたかったこと』が、6月3日に発売。化粧品とテクノロジーの進化により、母親世代よりもずっと若く美しくなった今の女性たちですが、アクティブに人生を楽しんでいるように見えて、「みんな言わないけど、本当はどうしてるの?」「これって私だけ?」と密かに気になっていることがたくさんあるはず。この連載では、誰も教えてくれないリアルな恋愛事情と、大人としてのお作法について、著者の体験をもとに紹介していきます。
50代で、再び独身になったら
独りでいることと、50代だということ。どちらも珍しくないけれど、この二つが組み合わさったとたん、心理的に厳しくなってくる。50代は、人生のほかのどの時期よりも、独りでいるのが難しい年代。特に、シングルになったのが最近ならばなおさら。長い時間をかけてつくり上げた生活をがらりと変えるなんて、そんなこと簡単にできるはずもない。ふんわりとした土を少しずつ積み重ね、踏み固めてつくり上げた土台を、いちから掘り起こして新しい土に入れ替えるようなものだから。それには相当な忍耐が必要になる。
30代なら、そうやって何かを一気に変えることも楽しい。でも50代だったら?
プラスの方向――広い部屋に移るとか、寝心地のよいベッドに替えるとか、給料の上がる転職をするとか――ならばいいかもしれない。でも、望んでいないのに独りになって、独りぼっちで朝食をとり、頭をもたれかけさせてくれる肩もないまま眠りにつき、別れた夫の友人たちとも会えなくなるなんて、これはまさしく拷問。
あなたがいままで幸せな家庭を築いていたとしたら? 失ったのは、夫の愛だけじゃない。夫の家族にとっても、あなたはもう好ましい存在ではなくなっている。少し前までは、そこにはちゃんとあなたの居場所があったのに。いまや新しい「女主人」がそこをとりしきる。
子どもがまだ10代ならば、さらにつらい現実が待っている。彼らはバカンスに父親の実家に行きたがる。大きな家にはいとこも犬も猫も、そしておじいちゃんおばあちゃんもいるのだもの。あなたは一人残され、暗い闇へと沈んでいく。
ずっと前から独りだった女性ならまだいい。でも、今さら決定的に愛を失った女性たちは、どうすればいいの?