「もっと強い意識を持っていこう」と言ったのに、いつまで経っても変わってくれない。「チームのことを考えて行動すれば評価は上がる」と伝えたのに、自分の仕事しかしない。部下にアドバイスをしたのに、「思ったのと違う伝わり方になってしまった」「何度言っても変わらない」「伝えたかったことと違う動きをされて困った」といった経験はありませんか。「伝えたつもりが伝わっていなかった」というコミュニケーションの問題は日々起きています。
部下にどのような言葉を使って伝えれば、部下はわかってくれるのか、適切な行動をとってくれるのか――きちんと納得感のある言葉を伝えるリーダーもいれば、曖昧な言葉で伝えるリーダーもいて、「言葉」の重要性が高まっていると感じた方も多いでしょう。心を動かす「言葉がけ」のできるリーダーに部下はついてくるのです。
自分の意識を変えるのでさえ難しいのですから、部下の意識を変えさせるのはもっと難しいもの。そこで、新刊『どう伝えればわかってもらえるのか? 部下に届く 言葉がけの正解』から、シーン別にNG行動・発言とOK行動・発言を対比させながらどのような言動で接したらいいかを紹介していきます。
×SNSをチェックして注意する
○本心をチェックして不満を取り除く
リーダーの悩み:部下のSNSの書き込みが会社に悪影響を与えかねない!?
株式会社ICT総研の調査(2018年12月)によると、日本におけるSNSの利用者数は7500万人を超えています。日本の人口が約1億2600万人ですから、半数以上の人が何らかのSNSを利用していることになります。
令和の時代において、SNSは無視できない存在です。便利なSNSですが、使い方によっては問題を生みます。
商品開発の情報が漏れてしまったり、あるいは「今日も遅くまで頑張った~」というポジティブな投稿のつもりが、「ブラック企業ではないか」といったネガティブな印象を与えてしまったりして、人材採用にも悪影響が及ぶことがあります。
従業員が投稿した不適切な記事や動画などが原因となって、企業が倒産や閉店に追い込まれるケースもありえます。人ごとではありません。SNSガイドラインを作成している企業が増えています。
会社によってはSNSの個人アカウントを管理したり、利用を制限したりしているところもありますが、「公私混同」となるおそれがあるため、限定的に考えざるを得ません。仮に合理的な制限を加えるとしても、個別にすべての行為を監視することは、会社に過度な負担を強いることとなります。
個人の裁量に任せるしかありませんが、会社の危機管理上、ケアは必要です。
リーダーにとってもSNSは無視できない存在で、「SNSでネガティブな投稿はしないように」(×)と、負の投稿に対して注意を払うと、プライベートまで監視されていると思われかねません。
先ほどと同じICT総研の調査によると、SNSを利用する理由の上位3つは、「知人の状況を知りたい」が39%、「人とつながっていたい」が36%、「自分の近況を知ってもらいたい」が22%です。
SNSに投稿する人は、誰かに見てもらいたいと思っています。特に負の投稿を書くのは、現状の不満をわかってほしいという現れです。
このSNSへの投稿は、「衝動的」な感情から起きることが多く、部下の本音なのです。