…>部下の「頑張っている」投稿は、ネガティブな心を示している
リーダーはこの負の投稿を意識することで、部下の不満や悩みを把握することができます。すぐわかるものならいいのですが、一見すると「頑張っている」ことをアピールするような言葉が不満を表している場合も少なくありません。
ここではどのような投稿が危ないかを示していきます。
(1)「充実」
SNS「今日も遅くまで残業。仕事、充実してるんだよね」
心の声「担当している仕事の量が多すぎるんだよ」
「充実」という言葉は、「リア充」という言葉にあるように無理に自分を奮い立たせている言葉です。「遅く」という言葉も危険です。「仕事が多すぎる。早く帰りたい」と、暗に表しています。「自分はこれだけ遅くまで残っているんだから」とアピールしたいのです。何より公開投稿の場合、コンプライアンス違反を指摘される危険性もあります。
(2)「頑張っている」
SNS「うちの課は頑張っているよ」
心の声「他の課はラクしているな」
「頑張っている」は危険なワードです。この言葉を投稿したときは、大きな不満を抱えているといえます。心身を安定させながら頑張っている人は満たされているので、この言葉は投稿しないでしょう。
(3)「寝てない」
SNS「今週はずっと3時間しか寝てない」
心の声「私ばかり頑張っているのに認めてもらっていない」
この言葉を発しているときは、無理に自分を奮い立てています。「心身ともに限界」の状態です。「これだけ頑張っている」と自分に酔っている場合もありますが、心身は疲弊しているので注意が必要です。
(4)「大変」
SNS「クレームの対応で大変だった」
心の声「お客様にさんざん怒られて大変だったよ。上司にフォローしてほしかったよ」
「大変」という言葉は、「気づいて欲しい、誰かに助けて欲しかった」との現れです。はっきり「大変」と投稿しているのは、不満がかなり大きくなっている状態です。特に普段あまり愚痴や文句を言わない部下が書いていたら、かなり要注意です。
(5)機密情報を公開する
SNS「この在庫の山、いったいどうするんだろうな」
心の声「こんな在庫抱えて、この会社もうヤダ」
会社の機密情報を投稿するのは、コンプライアンス違反です。
昨今はコンプライアンス違反であることは研修を通して学んでいることが多く、それでも投稿するのはかなり心身が疲れている状態です。もう退職を考えているのかもしれません。
もし、これらの言葉を目にしたら、「ちょっと話そうか」と早急に部下と1対1で面談をして、何に困っているのか、どんな不満があるのかを聞くようにすることです。たいていは聞くだけで、不満の芽は摘めます。
コンプライアンス担当の社員ならまだしもリーダーの場合、「見張る」という感覚だけでは足りません。負の投稿をする部下の心まで読み解く必要があるのです。
このように小さな不満の芽を摘んで、部下の不満をなくす対策を取ることができるのもSNSのメリットです。
部下のSNSで負の投稿が目立ち始めたら、仕事に対するSOSのサインです。むしろ、部下のことを知るチャンスなのです。
(1)の夜遅くまで残業しているという投稿を見た場合には、「最近夜遅くまで頑張ってくれて本当に感謝している。ただ、あまり遅いのが続くと体調も心配だな」とねぎらいます。
そのうえで、「何が時間を遅くさせているのかな。改善できないか一緒に考えたい。どんなことでもいいから教えてくれないか」(○)と本音を言いやすい形で質問します。
(2)~(5)のケースでも、「何が時間を遅くさせているのかな」という部分を言い換えるだけで適用できます。
部下のプライベートなどを見るのではなく、部下のモチベーションのバロメーターの一つとして見るのがSNSとのつきあい方なのです。
【ポイント】
SNSは部下の不満を写す鏡。不満をなくすとネガティブにとれる投稿はなくなっていく