週次の米新規失業保険申請件数は以前から、雇用市場の最新動向を簡単に把握できる便利な指標の一つとされてきた。だが最近では、そのデータを読み解くのが難しくなっている。米労働省は11日、6日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)について、前週の約190万件を下回る約150万件と発表した。また、政府が自営業者やギグエコノミー(インターネットを通じた単発請負型の非正規雇用形態)従事者向けに設けたパンデミック失業支援(PUA)プログラムの申請件数は、季節調整前で70万5676件だった。これらは、新型コロナウイルスによる危機が経済に打撃を与え続けていることを浮き彫りにする赤裸々な数字だ。だが、先週発表された5月の雇用統計で、非農業部門就業者数が前月比250万人増と予想外の結果だったことを考えると、失業保険申請件数はもはや意味がないとも思われる。実際、発表前の市場予想は数百万人減で、エコノミストが雇用統計の予想をこれほど外した最大の理由は、失業保険申請件数に注目していたことだ。