ニューヨークのセントラルパークにできたコロナ患者用の仮設病院
ニューヨークのセントラルパークにできたコロナ患者用の仮設病院 Photo:PIXTA

世界で猛威をふるった新型コロナウイルスだが、特にアメリカでは多数の死者が出た。そこには、国に根付いている宗教的背景や伝統的な価値観が大きく絡んでいる。各国の根幹にあるのは“国民性”であり、政治や経済にもそれぞれの国民性が反映されるからだ。そこで今回は、代々木ゼミナールで人気No.1の公民科講師・蔭山克秀氏の『世界の政治と経済は宗教と思想でぜんぶ解ける!』(青春出版社)から、アメリカで新型コロナの犠牲者が多数出た背景について、「倫理的」視点から解説する。

トランプ大統領が白人貧困層に人気がある理由

 アメリカの政治は「自由」を求める。これは共和党も民主党も同じだが、そのためのアプローチは両党の間で全然違う。共和党は自由を求める「保守層」で、彼らはフェアな自由競争を好む。自由な活動の場としての市場を重視し、自助努力以外のアンフェアな要素(つまり政府の介入)を嫌う。そのため、弱者には冷淡だ。弱者は「フェアな競争に敗れた結果」であり、それを救済することは、かえってアンフェアになるという理屈だ。だからアメリカは最低限の生活保護以外の社会保障が非常に薄い「小さな政府」の国で、先進国としては非常に珍しいが、公的医療保険制度がない。

 ちなみに共和党の支持層といえば「裕福で保守的な白人層」というイメージだったが、トランプ大統領はなぜか「プアホワイト(白人貧困層)」に人気がある。共和党で貧困層に人気なんて非常に珍しいが、これはおそらく彼の求めるフェアが、自国民に対するものではなく「グローバル経済に対するもの」だったからというのがあるだろう。