米国では、黒人男性ジョージ・フロイドさんの死亡事件とその後の抗議活動を受け、差別や警察による武力行使といった問題にどう対処するかを巡って議論が沸騰している。警察予算を削減し、社会問題解決の財源に充てるよう求める声が上がっているほか、オバマ前政権下の「21世紀の警察活動に関するタスクフォース」が示した、警察活動の改善と国民の信頼醸成に向けた59の勧告に改めて注目が集まっている。この勧告は発表から5年が経過した今、米国の警察署の一部から支持を得ている。だが、警察の慣習や官僚主義、乏しい資源、さらに議会の優先順位が変わったこともあり、その最も野心的な提案については実現に時間がかかっている。警察幹部や学者、公民権活動家など11人で構成されたこのタスクフォースは、警察の武力行使に関する包括的なガイドラインの策定、警官の発砲に関するデータの収集、警察活動の監視に地域住民を参画させることなどを警察署に求めた。また、雇用慣行を見直し、多様性を高めることも提言した。