景気低迷で企業の財務担当責任者は支出をより詳細に見る必要に迫られている。注目されている手法の一つが、過去の実績を基準にしないゼロベース予算(ZBB)だ。この手法を活用する企業が増えている。米ゼネラル・モーターズ(GM)やカジュアル衣料大手ゲス、貴金属・宝飾品大手シグネット・ジュエラーズなどは、コストを削減し新型コロナウイルス流行の影響を乗り切るためZBBを導入している。ZBBでは、財務担当者は予算の各項目を精査し、それを正当化する必要がある。これは、前年の支出を調整したり、経済予測に基づいて全体の予算額を一定の割合で削減したりする従来の予算策定手法とは対照的だ。ZBBについて企業に助言するボストン・コンサルティング・グループのマネージングディレクター、ルーク・ポトチニク氏によると、ゼロベースの予算策定アプローチは新型コロナが流行する中、活用する財務担当責任者は増えている。また、従業員の在宅勤務の増加に伴うオフィスの面積縮小や、顧客がインターネット通販にシフトしていることなど、事業の長期的な変化に向けた最高財務責任者(CFO)の予算策定にも役立つとの見解を示した。