基礎体力+独自性で
「逆転就活」も可能

 私はこれまで、学力に自信のない学生にも一流企業に就職できるチャンスをつかんでもらうべく就職指導をしてきました。結論を言えば、「基礎体力型」学生になれば、逆転就職は可能です。2005年以降、社会の動向として、新入社員に求めたい能力に「コミュニケーション能力」が上位に挙げられるようになりました。知識や学力よりも、「現実社会に強い」学生を求める傾向にあるのです。何が起こるかわからない状況の中で、あきらめず現実に立ち向かえる人間は強い。それが「基礎体力型」の学生です。

 加えて、基礎体力を身に付ける過程の自己分析で、「自分の独自性」を見つけることができれば、さらに内定に近づくことができます。

 過去に指導した中に、こんな学生がいました。

 学力が低く、飽きっぽく、目立った取り柄のない学生なのですが、彼はいつもニコニコしていました。周りには、いつも学生たちが集まっている。人を引きつける力があったのです。彼はスポーツ用品店でアルバイトをしており、ゴルフコーナーの担当をしているということでした。詳しく聞くと、バイト先では正社員を抜いて売り上げ1位を記録したこともあり、彼を指名して買い物をするお客さんもいたそうです。

 私は彼に、「一部上場のスポーツメーカーを受けてみては」とアドバイスし、面接の練習をしました。そして、彼は「御社でも、必ずお客さんを喜ばせて、指名してくれるファンを作ります」という宣言をして、内定を決めました。

 偏差値の高くない大学であっても、短期留学やインターンといった華やかな活動をしていなくても、強みはある。彼の「人を引きつける能力」という独自性と、アルバイト先での実績が結びついたとき、それが大きな武器となったのです。

 企業を野球チーム、就活生を選手に例えるなら、さまざまな才能を持った選手をうまく起用できるチームこそが強いチーム(一流企業)だといえます。一流のチームには、打率も高く、守備もうまい、肩もいいという選手ももちろんいますが、代打の切り札、盗塁のスペシャリストというような一芸に秀でた独自性を持った選手を採用する枠も必ずあります。

 つまり、独自性に気がつくことができれば、勉強が苦手でも、有名大学出身でなくても、それは大した傷にはならないのです。卑屈になるよりも、しっかりと基礎体力を身に付けて、自分の得意分野を身に付ければ、いつの時代にも求められる人材になれるのです。

(武蔵野学院大学国際コミュニケーション学部客員教授 吉井伯榮)