中づり広告週刊誌が出す広告を巡っては、実は新聞社、広告代理店との間に水面下のバトルがある(写真はイメージです) Photo:PIXTA

文藝春秋に入社して2018年に退社するまで40年間。『週刊文春』『文藝春秋』編集長を務め、週刊誌報道の一線に身を置いてきた筆者が語る「あの事件の舞台裏」。今回は広告を巡る週刊誌と新聞社、広告代理店、そして取材先である政治家や芸能人のバトルをお伝えする。(元週刊文春編集長、岐阜女子大学副学長 木俣正剛)

発売前に記事内容を
知る方法とは?

 週刊誌のタイトルを中づりや新聞広告で見てから買うという人も多いと思います。実はこの広告は神経を使う部分なのです。

 週刊文春の場合、発売日は通常木曜日。原稿の最終締め切りは火曜の夕方です。火曜の朝までに記者が原稿を書き、編集者が修正して、2回のゲラチェックを経て校了します。何もなければ夕方には終わりますが、大事件が起きたときなどは深夜になることもあります。

 この原稿の中身を早く知る方法はなかなかありません。印刷所といっても週刊文春を印刷している凸版印刷は文春社内に組版の部屋を持っているため、そこですべてが処理されます。

 しかし週刊誌に記事を書かれる側は、なんとかして中身を知ろうとします。月曜の夕方から原稿を書くのが通常ですから、月曜の朝には取材を申し込みます。申し込みを受けた側、あるいは取材を受けた側というのは、どんなタイトルと中身になるのか必死で探ります。

 そして、実は抜け道があるのです。新聞広告と中づり広告という――。